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副業を本業の会社に隠す方法!

以前、副業はアルバイトがお勧めということを紹介した。
booksandfamily.hatenablog.com


しかし、副業をしていることを会社に知られたくない、あるいは副業をしたら会社にバレてしまうのでは? と心配な人もいることだろう。
そこで今回は、副業を本業の会社に知られないようにする方法を紹介する。
なお、副業でアルバイトをしている場合(「給与所得」である場合、詳細は後述)想定で説明するが、給与所得でなくても基本的には同様である。

 

<目次>

 

 

1.副業をしていることが本業の会社にバレる仕組み

そもそもどのようにして本業の会社で、ある社員が副業しているなどということが分かるのだろうか。
これは、その社員の給料から天引きされる、住民税からバレてしまうのである。詳細は以下の通りである。
住民税は本業の会社が給料を支払う際に天引きする。そのため住民税額は社員が住んでいる各自治体から会社に通知されている。
この住民税は前年1-12月の年間所得が元になって税額が決まるのであるが、当然この年間所得というのは会社から各自治体に通知するような仕組みになっている。
毎年1月末までに全ての社員の所得を税務署(所得税のため)と各自治体(住民税のため)に通知する「法定調書」というものが会社から発行されているのだ。
これが所得税と住民税を洩れなく納税・徴収するための我が国の仕組みなのだが、この法定調書は本業の会社であろうと副業の会社であろうと通知される。
他方、住民税の給与からの天引きは本業と副業の会社を区別せず、全額が本業の会社給与から天引きされ、徴収されるのである。
つまり、本業と副業いずれの年間所得も合算されて計算された住民税額が、自治体から本業の会社のみに通知されるのである。
そこで、ある社員が副業をしていると、本業の会社で払った給料の割に所得が高く、住民税額が高いなと本業の給与計算担当者に気づかれ、発覚するのである。
以上が副業をしていることが本業の会社にバレる仕組みである。

 

2.副業をしていることが分からないようにするには

それでは、どのようにして副業をしていることをバレないようにすればよいだろうか。
副業であるアルバイトの給与所得と、それに伴う住民税額が自治体から本業の会社に通知されないようにするのである。
この作業は副業を行った翌年の確定申告の前後に行う。

1)確定申告を行う。
準備するのは本業、副業それぞれの会社から発行された源泉徴収票(通常、いずれも12月の給与明細に同封されている。ないか紛失した場合には会社に問い合わせること)と確定申告書である。

まず、確定申告書の記載数値自体は普通にそれぞれの源泉徴収票の数字を合算した値を記入する。
(確定申告書の数値に関する記入方法は本稿では割愛する。確定申告の手引きを参照するか、税務署、確定申告会場で聞いてほしい。親切に教えてくれるはずだ)
ここからが肝心である。
まずは、確定申告をするときに使う「確定申告書B第二表」という用紙を確認しよう。

その見本は以下のとおり。

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下部「○ 住民税・事業税に関する事項」を参照

 この「確定申告書B第二表」の下部に「給与・公的年金等に係る所得以外(平成〇年4月1日において65歳未満の方は給与所得以外)の所得にかかる住民税の徴収方法の選択」という欄がある。この欄で「自分で納付」のところに「〇」をつける。それで、あなたの副業収入の情報が本業の会社に行かないようになる。

ちなみに、住民税を「給与から差引き」することは「特別徴収」といい、住民税を「自分で納付」することは「普通徴収」という。

2)自治体の住民税担当者に連絡する。

確定申告後、4月(4月10日-15日頃が目安)に、住んでいる自治体の住民税窓口(市民税課といった部署のはず)に電話する。そして以下のように聞く。「私は昨年、本業と副業それぞれで所得があった者です。副業の所得について本業に知られたくないので、確定申告時に、確定申告書B第二表の「住民税・事業税に関する事項」の欄、「自分で納付」のところに「〇」をつけました。これで副業分の住民税は直接私のところに通知され、本業の会社には通知されないということで問題ないでしょうか」

ここで「絶対ではない」「条件による」といったようなことは言われると思うが、概ね大丈夫な旨、確認できれば問題はない。

この確認を行うのは、4月の人事異動によってこのことをよく分かっていない担当者が着任しており、事務処理ミスで本業の会社に通知されないようにするためである。この電話での自治体への確認は、できれば確定申告前にも行っておくとよい。場合によっては、「確定申告前に自治体窓口にきてください」と言われることもあるそうである。私はそのような経験はないが、念のため確定申告前と4月の2回、電話をするようにしている。

これで、副業の住民税額が本業の会社に通知されることはない。副業分の住民税については自宅に通知が届くので、期限までに自分で納付してほしい。

 

3.注意事項

何点か注意事項がある。

1)必ず確定申告すること。

副業先では本業の所得を踏まえた所得税の天引きが行われていない。このため、副業でアルバイトなどをしている時には必ず確定申告が必要となる。この時、通常は確定申告により納税額が増加する。しかしながら確定申告しないと脱税となり、重加算税を課されることになる。当局は会社からの法定調書であなたの所得を把握しているため、必ず後で露見する。

給与所得でなく、雑所得で年間20万円を超えない場合には確定申告しなくていいとされる。しかしこれは所得税の話であり、住民税としての確定申告は必要である。

この記事を読む人は本業の会社に副業を知られたくない人だからあまりないだろうが、くれぐれも確定申告は行うことだ。

2)副業の所得を通知される場合がある。

本業の年末調整で控除されず、確定申告でしか控除されない所得・税などがある。初年度の住宅ローン控除(2年目以降は年末調整で控除される)、医療費控除などである。こういったものの控除が副業の所得を上回る規模の場合には本業の所得に食い込むため、翌年の住民税額通知時に合算されてしまう。このため、翌年の本業会社宛ての住民税通知書に副業の所得も合算されて記載されてしまうことがあるようだ。この時は避けられない。但し、自治体へのお願いで何とかなる場合、給与計算担当者が気づかない・見て見ぬ振りをする・給与計算がアウトソーシングされ気づかれないといった可能性もあるので望みはある。どうしても副業を知られたくない場合、医療費控除を断念するといった対応も最後の手段として考えられる。

 

 

4.まとめ

・副業をしていることは住民税の通知から本業の会社に知られてしまう。

・副業を知られないようにするには、確定申告書で、副業分の住民税を自分で納付するように記載すること、またその旨を電話で自治体住民税担当者に念押しすることで対応可能となる。

・副業でアルバイトなどをしている時には必ず確定申告すること。

・初年度の住宅ローン控除、医療費控除がある場合などはこの対応をしても本業の会社に副業の所得を合算されて通知されることがある。

 

この住民税の対応は、自治体によって担当者の対応が異なることもあるので注意が必要だ。しかし今回紹介した対応によって、おおよそ上手くいくはずである。

一般に、副業をしていることが本業の会社に知られてもいいことはほとんどない。

バレて不利益を被りそうな場合、司法の場まで争うような時には憲法で保障されている「職業選択の自由」を持ち出してもいいだろうが、基本的にはなるべく隠しておくのが無難である。