娘が生まれるまでの記録。
2018年11月21日水曜日、第一子である娘が生まれた。
それまでの記録を残しておこうと思う。
出産予定日は11月17日だった。
それまでも奥さんは歩いて過ごしていたが、11月15日から奥さんと二人で歩くようにした。
15日18,000歩
16日15,000歩
17日12,000歩
18日13,000歩
19日13,000歩
20日8,000歩
20日は奥さんの体力が続かず、ずっと休憩していた。
思えば前駆陣痛が始まっていたのかもしれないと言っている。
奥さんの場合には夜中に胎動が激しくて寝つきが悪かった。
20日の夜も中途半端にしか眠れなかったようだ。
21日の朝、5:30か6:00くらいから不定期に痛みを感じるようになっていた。
一度、9:00前に病院に電話をしたが、破水も来ておらず、診察の結果帰宅することになると却って辛いので引き続き様子を見ることにした。
貼るタイプのカイロを多めに購入した後、二人で気分転換にガストのモーニングを食べに行った。トーストとゆで卵、スープとドリングバーのモーニング。
この途中、9:30から10:30の間に痛みが一層強まった。
この時点で相当険しい表情をしており、既に見ているのも辛いくらいだった。
また、痛みの間隔は2分ほどとかなり短くなっていた。
11時前に帰宅し、病院に再度電話した。やはり破水はなかったが、来てもらっていいということなので病院に向かうことに。奥さんにはまず腹ごしらえをしてもらう。
本人がカレーを希望したのでインスタントカレーを準備し、食べてもらった。
それから陣痛タクシーを呼んだ。5分で来られるという。
駅前に住んでいるので、対応できるタクシーがちょうどその駅前で客待ちをしていたのだった。ありがたい。
入院用に用意していた荷物一式に、やはり予め冷蔵庫に入れておいた出産時用の飲料、ドリンクゼリー、プリン等を詰めて家を出た。
陣痛タクシーはマンションの入り口で待っていた。女性のドライバー。
荷物詰込みを手伝ってくれ、早速出発した。車で20分弱の距離である。
ドライバーさんは最初だけ「初出産ですか」「じゃあ楽しみ半分、不安半分ですね」などと陽気に話しかけて下さったが、奥さんが最初からかなり苦しそうで、私がずっとさすっているのを見て、それ以降は話さずに運転してくれていた。
12:00頃病院に着き、奥さんには入り口で車椅子に乗ってもらう。
受付前までドライバーさんが荷物を運んで下さった。本当に助かった。
総合受付、参加での受付と15分ほどの待機を経て受診。
「破水はしていないが、お産が進んでいるので入院」ということになった。帰宅させられずにまずは安心。奥さんは助産師兼看護師さんに分娩室まで連れていってもらい、私は入院手続きを済ませた。
奥さんは12:30頃から分娩台に上った。
ひどく辛そうだが、痛みの時はゆっくり吐き出す呼吸を一緒にする。
子宮口も徐々に開いてきているということだった。
本人が痛がっている腰、お腹、お尻をさすり、押して、ドリンクゼリーを補給する。
これを産むときまで、ずっと続けていた。
あらかじめ、点滴を打つ必要があると伝えられていて、予定通り点滴をしてもらう。
また、モニターでは赤ちゃんに頻脈が見られるとのことだった。
これも妊婦健診の時から続いていた。
助産師兼看護師さんや産科の先生が内診などの処置を行ってくれる。
14:30くらいには子宮口がかなり開き、「夕方には生まれる」とのこと。
初産では特に時間がかかり、分娩台に20時間乗っていることもあるとのことで、少しほっとした。助産師兼看護師さんにトイレに連れていってもらう。といっても分娩室内にあるのだが、本人にとっては寝返りをうつだけでも厳しいのである。とても辛い様子だ。
トイレも、行きたい感覚はあるのだが全く出ないという。
17:00頃、日中から夜間にシフト交代とのことで産科の先生と助産師兼看護師さんが引継ぎの内診をしてくれた。子宮口は全開していた。
「お母さん、産みますよ。心の準備はいいですか」と声を掛けられる。
だが、ここからなかなか進まない。赤ちゃんが下に降りてこないのだ。
一旦、産むためのシートが引かれ、産むための体勢に変わる。「もういきんでもいいですよ」となる。
しかししばらく続けても出てこない。シートも引き上げられ、体勢も戻すことになった。呼吸も、いきまない呼吸に戻した。
18:00過ぎから産科の先生も付きっ切りになった。そして再びシートを引き、産む体制に。いきむが赤ちゃんは下りてこない。
本当は、出産時には足を上げないといけないのだが、奥さんは身体が固く、股関節の痛みに耐えられなくどうしても足を上げられないという。
先生らが「このままだと産めず、苦しいのが続くよ」と、足を上げるよう説得するのだが本人は無理な様子。私が説得しても頷くことはないだろう。
「一、二の三で足を上げて、ぱっと赤ちゃんを引き出すことはできないでしょうか?」と、無理だと思いつつ折衷案を出してみた。やはり難しいと、先生がいう。
頻脈であることから小児科の先生もスタンバイとなった。
また、産後の台など機械ももちろん準備されている。あとは産むだけだ…。
19:00頃だったが、結局、本人の意思通り足を開かずに吸い込んで取り上げるのを試みることにした。
それでうまく行かなければ、足を無理やり上げ、押さえていきんでもらうことに。
痛みが来て、また本人がいきむ。一度だけ呼吸し、またいきむ。
もう一度呼吸し、またいきむ。まだ生まれないか。
さらにいきむ。吸い込みの手応えがあったようだ。
「お母さん、もう息を吐いて大丈夫ですよ」力を抜いてもらう。
10秒ほどして、足と足の間から赤ちゃんが出てきた。頭からだ。髪の毛も少しある。
まるで小人が出てきたようだが、間違いなく人間だ。
涙がじわっと込み上げてきた。
奥さんの頭を傾け、生まれる様子を見せる。
しかし奥さんは完全に体力を失っていたので目を開けられなかったが。
私は子が生まれても、たぶん泣かないだろうなと思っていた。
しかし、強烈に込み上げてきた。奥さんにお礼を言う。「生まれたよ。本当にありがとう」「よかった。本当によかったね」
赤ちゃんはまだ泣かない。奥さんは「赤ちゃんの泣き声は…?」とだけいう。
薬を常用していたので、スリーピングベイビーとなることをとても気にしていたのだ。
だが、30秒ほどしたら元気な泣き声が聞こえた。奥さんは「よかった…泣いてくれてよかった」といい、涙ぐんだ。
初めての子である娘が生まれた。